千島に関するブレークスリー極秘文書


1944年12月6日アメリカ国務省
1972年6月20日公表

主題  千島列島の将来の処理

基本的要因

千島列島は日本、ソビエト、アメリカにとって戦略的重要性を持つ。
また日本にとっては相当な経済的価値を持っている。

A.概観

 千島列島は日本の主要島の最北島北海道から北東に向かい、ソビエトの
カムチャツカに至る約600マイルにわたって点在し、住民を有する47の
火山島の連鎖を形作っている。
 全域はおよそ3944平方マイルである。定住人口は17550人(1940年)
で、全部日本人であり、夏季は漁業に従事する季節労働者2万から3万人が増加する。
 日本は1800年ごろから南部千島列島を所有していた。
 カムチャッカから北部諸島に進出しつつあったロシアは1855年、これら南部
諸島の日本所有権を承認した。
 1875年ロシアは日本が南部樺太から撤退する代わりに、全千島から撤退した。
千島列島は日本本土の一部に考えられ、行政区画としては北海道庁のもとにおかれ
ている。
 列島の経済的重要性は、ほとんど全面的に漁業から由来するものであり、
1938年度生産は900万ドルと推定された。
 水産物は日本の食料に重要な地位を占め、日本の輸出貿易中の重要品目となっている。
 ソビエトがシベリア東部の近海漁業への日本の出漁を制限または禁止する場合は、
千島列島の漁業は日本にとって更に重要性を増すだろう。

 千島列島は日本とソビエトの間に連鎖し防衛及び攻撃双方の基地を提供している結果
両国にとって戦略的に重要である。
 また、千島列島は太平洋からするオホーツク海、沿海州地方への接近に対して、
軍事的煙幕を形成しているので、ソビエトにとって重要である。
 千島列島はアリューシャン・日本国間の大圏航路の上に位置しているのでアメリカに
とっても重要である。
 
 千島列島は南部・中部・北部の3郡に分けることができる。
 南部郡は北海道から北上して約235マイルにわたって展開し、択捉島を含み、
千島列島総人口の約90%を擁し、1800年ごろ以来明白に日本領土だった。
 この郡の最も近接した地点は、北海道からわずか12マイル程度ある。
 住民は日本人であり、その生活は日本本土諸島のそれと同じである。
これらの島の戦略価値は、1年のうち約半分、オホーツク海から千島列島の西方にわたる
海域が大部分氷に満たされ、航行はほとんど不可能な事実によって制限されている。

中央郡は得撫島から北方375マイルにわたって展開し、大部分は人口は希薄で、経済価値は
ほとんどない。しかし戦略的には重要である。

 これらの島はオホーツク海の入り口に横たわっており、新知島は、長さ31マイル、幅5マイル
をもち、プロトン湾を抱き、これは開発すれば重要な基地とし得、艦隊の投錨も可能となる。
 海軍作戦本部が発行した千島列島便覧は、この湾について、湾口が改善
されればプロトン湾はすばらしい湾になると述べている。
 陸軍諜報部が発行した千島列島調査報告には、この湾は千島列島作戦にあたり、決定的原因の
一つとなろう。と述べてある。
 湾口は6フィートの水深しかないが、これは明らかに浚渫して深くすることができる。
入り口をいかなる船舶にも通過できるようにする工事は決して不可能なことではない。
 湾一帯の地域は要塞化されていない。中央群に属する諸島は南方群に至る踏み石を形成している
ので、その意味での戦略的価値をもっている。

 北方群は幌筵、占守、阿頼度の三つの主要な島からなり、漁場としても、空海軍基地としても
重要である。北方及びその周辺漁場及びその他の水産価値は、1938年全千島列島の生産
900万ドルのうち700万ドルをしめていた。
 地理的にはこの群はカムチャッカの継続であり、カムチャッカから隔てることわずか7マイル
しかない。

千島列島の処理を決定するに当たっての重要な要因のうちには、
 1.列島中央群のある場所に、一個及び数個の基地を設けるべきであるとするアメリカ海軍の希望
 2.対日戦に参加、あるいは不参加の決意をするにあたって、北部群と中央群、あるいは全千島
列島の獲得を要求することもありえるソビエト政府の圧力
 3.戦争の結果として日本帝国から分離される全島に国際管理の原則を適用することが望ましい
ことなどがある。

B.主張及び考えられる解決策

1.日本

 日本は、在住民が日本人であること、民族自決、地理的近接、経済的必要、歴史的領土を理由として
千島列島南方群に対して強力な要求主張をもっている。
 日本の中央群に対する主張はほとんど単一に歴史領土だったという理由に基づいている。
 南部及び中央の諸島が、一応の仮定として考えられるように、非軍事化され、満足と解される期間、
国際機関による軍事観察制度のもとにおかれるとすれば、これらの諸島を日本が保有することは、
他の諸国にとっても脅威とはなりえないように思われる。
 北部群に対する日本の要求主張は、主として、この諸島を中心としている漁業を維持する必要に
基づいている。これらの島を領有することは、日本にとっては、一国または数国の支配下にある領土
で漁業権を許容されるよりも望ましいだろう。
 けれども、千島列島の処理がどのように行われるにしても、日本は、これら諸島において、
その漁業を引き続き行うことを許されるべきであろう。

2.ソビエト連邦

 ソビエトは占守、幌筵、阿頼度もの諸島の北方群にたいして強い要求を持っている。
その根拠は、これら諸島がソビエト連邦領に隣接し、その結果として敵意ある国家の所有に
帰した場合、軍事的脅威となることを防止するために、これらの諸島を支配することが
望ましいということにある。
 ソビエト政府は北方群のみならず、中央群もまた要求するかも知れないし、南方群までも
要求する可能性がある。
 北方群及び中央群を領有することはソビエトにとっては、事実上、ほとんど一年間を通じて
結氷しないオホーツク海の通路を支配することになる。
 けれども、ソビエトが南部諸島に対する要求を正当化する要因は、ほとんど無いと思われる。
 南部諸島をソビエトに移譲することは、将来の日本が、恒久的な解決として受諾するに困難な事態を
作り出すであろう。それは、歴史的に、民族的に日本のものである諸島と、価値のある水域とを
日本から奪うことになる。
 もし南部諸島が要塞化されれば、それは日本にとっての不断の脅威となろう。
 対日戦に介入する代償として、他の連合諸国は、北方群あるいは北方及び中部の両群を、
ソビエトに移譲することを受諾せよというソビエトの要求によって、事態は複雑化するで
あろう。

3.アメリカ合衆国

 アメリカ海軍は、この地域における海軍作戦の場合に使用するため、千島列島に基地を持つことを
希望している。かかる基地が国際管理のもとにおかれるのか、あるいはまた一定の条件のもとに、
アメリカ艦船及び飛行機のために開放されるソビエト基地なのか、について明瞭でない。

4.計画されている国際機構

 北方群、あるいは北部と中央の両群は計画されている国際機構の権威のもとにおかれる
べきであろう。この解決はある一国によって、使用されることによって生じる軍事的脅威を
ほとんど完全に除去するであろう。
 また、戦略的重要性をもつ、北方群に一ヶ所または数ヶ所の国際基地の設置を可能にする。
 この国際機構は
管理権保持者として国際混合委員会あるいはソビエトを指名するが、後者の場合、1から
数ヶ所の基地を設置するに違いないが、これはアメリカ及び連合諸国の使用に供されること
がのぞましい。
 アメリカが単独で、これらの諸島の管理国となり、あるいは単独で基地を持つことは、
将来、ソビエトとの間に紛議が生じた場合、この国を遠隔かつ困難な地位におくので
望ましくないように思われる。
 北部及び中央の群が完全な主権をもってソビエトに与えられるよりも、むしろ計画されている
国際機構のもとに置かれるべきだとするならば、おそらく日本は、その国家経済にとって
重要な要因をなす、北部諸島及びその周辺の漁業を、引き続き実施する権利を獲得する
であろう。
 日本の委任統治諸島および南鳥島を、計画されている国際機構の権威の下におき、
アメリカをして管理せしめるという勧告は、一層容易に、アメリカの全般的指示を
うけるだろう。

C.勧告

1.南部千島列島は、日本によって保持されるべきであり、全日本帝国に適用される
武装解除の原則に従わされる。
2.北部及び中央千島列島は計画されている国際機構のもとにおかれ、
この組織はソビエトを管理国として指名する。
3.いずれの場合も、北方群水域における日本の漁業権保持については、考慮を
与えるべきである。

以上を勧告する。









ルーズベルトがしっかりとこれを読んでいたら・・・(..)