樺太国有未開地特別処分令施行規則  明治45年1月樺太庁令第1号


第1条  特定地の貸付又は売却は一人に付左の面積を超ゆることを得す

     一、耕作及之に直接付随の用途に供する土地     参萬坪
     二、牧畜及之に直接付随の用途に供する土地    五十萬坪
      但し狐飼養及之に直接付随の用途に供する土地 一萬五千坪
     三、市街宅地及部落宅地に供する土地       千五百坪
     四、其の他の事業に供する土地           一萬坪

     前項第一号の土地は借地人において一万五千坪に対し一戸の割合を以って移住農民を収容す
    るときは九萬坪迄第四号の土地は会社又は組合に対しては其の面積を五倍迄増加することを得

第2条  耕作牧畜及び之に直接付随の用途に供する土地の貸付は無償とす
    但し土地の状況に依り必要と認むる土地は有償とす

第3条  耕作牧畜及び之に直接付随の用途に供する土地の貸付期間及事業成功期間は左の制限を
    超ゆることを得す

     一、一萬坪未満      参年
     二、拾萬坪未満      五年
     三、拾萬坪以上      拾年

     市街宅地及落宅地に供する土地の貸付期間及事業成功期間は1箇年を超ゆることを得す
    但し特別の事由あるものは各期間の二倍までとす

第4条  造林又は泥炭地の開墾に限り土地の貸付期間及事業成功期間を前条第一項の期間の二倍
    迄とす

第5条  土地貸付期間及事業成功期間は許可の翌日より起算す
    耕作牧畜及之に直接付随の用途に供する土地の貸付期間及事業成功期間の初年は許可の翌日
    より翌年十二月三十一日迄とす

第6条  貸付地の一部を自己の便宜に依り返還し若しくは返還せしめたる場合においては其の
    事業成功期間又は土地の貸付期間を変更せしむことあるへし

第7条  樺太国有未開地特別処分令第九条第一号の規定に依る牛馬の頭数は壱萬坪以上壱萬五千坪
    までの土地に付ては馬又は牛一頭以上とし壱萬坪を加ふる毎に馬又は牛一頭を加ふ

第8条  耕作及之に直接付随の用途に供する土地を無償にて貸付したる場合においては其の
    事業成功期間は左の割合に依るへし

     一、壱萬坪未満の土地      十分の八以上
     二、壱萬坪以上の土地      十分の七以上

第9条  土地借受人は樺太庁長官の許可を受くるにあらされは其の権利を譲渡することを得す

第10条 借地権の譲渡は左の各号の一に該当する場合の外之を認可せす

     一、分家したるとき
     二、事業を継続し難きものと認めたるとき
     三、貸付地又は其の付近に一箇年以上居住し一箇年分配当程度以上の事業を成功したる
      とき

第11条 樺太国有未開地特別処分令第七条の規定に依る貸付地に対する事業は毎年一回之を検査す
   
     前項以外の貸付地及売却又は譲渡したる土地に対する事業は随時之を検査す

第12条 第九条の規定に違反し又は土地の売却、貸付若は譲渡を受けたる者にし予定の事業方法に
    違反したるときは契約を解除し土地の返還せしむることあるへし

第13条 土地貸付の願書には既に貸付を受けたる土地若は出願中の土地を表示すへし

     前項の表示を爲さすして土地貸付を受けたるときは其の契約を解除することあるへし

第14条 貸付地を返還し又は売却、貸付若は譲渡の契約を解除したる場合において其の土地に
    工作物其の他の物件存在するときは指定の期日内に之を除去せさるときは官において
    除去しその費用を弁償せいむへし

第15条 樺太国有未開地特別処分令第一条若は第六条に依る土地の売却は有償貸付を受け
    其の貸付料金を完納し且予定の目的及方法の通事業を完成し検査に合格したる者に
    対して之を爲す但し樺太庁長官において拓殖上特に必要ありと認むるときは
    樺太国有未開地特別処分令第一条第二号依り直ちに売却を爲すことを得
第16条 前条に依り売却ふへき市街宅地及部落宅地の価格は別に之を告示す

第17条 売却代金は売却許可の日より一箇月以内に納入すへし

     前項の期間内に其の代金を完納せさるときは売却の契約を無効とす

第18条 契約期間内といえども土地の貸付料は樺太庁長官において之を変更することあるへし

第19条 土地の貸付料は毎年四月十月に各六箇月分を前納すへし

第20条 一箇年に満たさる貸付料は月割計算とし貸付許可カ月の十五日以前に係るものは
    全月分を其の十六日以後に係るものは半月分を徴収す

第21条 土地の売却、貸付又は譲渡の契約の解除、物件除去、費用弁償若は伐木代償の
    弁償の通知を爲したる場合において本人若は代理人其の通知書の受領を拒み又は
    居所不明にして之を交付すること能はさるときは地元支庁の掲示板に3日間之を
    公示し公示の終りたる日をもって之を通知したるものと看做す

第22条 土地調査に関し出願者又は権利者の実地立会を必要とし当該官吏より立会を
    終りたる日をもって之に立会すへし

第23条 土地の売却、貸付又は譲渡の許可を受けたる者は指令書受領の日より三十日以内に
    土地の境界に第十一号様式の標杭を建設すへし

     前項の標杭は左の期間内之を存置し滅失毀損の場合は更に之を建設すへし

     一、樺太国有未開地特別処分令第七条に依る貸付地は其の貸与を受くる迄
     二、其の他の貸付地は貸付期間内
     三、売却地及貸与地は三箇

第24条 樺太国有未開地特別処分令第七条の規定に依り土地の貸付を受けむとする者は
    第一号書式の願書に第二号又は第三号、第三号の二書式の事業予定書、願人及収容
    農民の戸籍謄本を添付し樺太庁長官に差出すへし但し新に移住したる者耕作目的の
    爲め出願するときは別に本籍地又は寄留地町村長の移住証明書を添付すへし
     前項耕作に供する参萬五千坪未満の土地にして第三条の貸付期間内に第八条の
    割合に依り毎年其の平均地積以上を成功する予定なるときは事業予定書の添付を
    要せす

第25条 市街宅地又は部落宅地の貸付を受けむとする者は第四号書式の願書に戸籍謄本を
    添付し樺太庁長官に差出すへし

第26条 前二条以外の土地売却貸付又は譲渡を受けむとする者は第五号書式の願書を
    樺太庁長官に差出すへし

第27条 会社又は組合に在りては前三条の願書に定款又は組合契約書を添付すへし
     九萬坪以上の売却、貸付、譲与又は譲渡の願書には官公署の証明ある財産調書
    牧畜の用途にする土地の貸付願書には願人又は牧場管理人の牧場経営に関する
    経歴書の添付を命することあるへし

第28条 共同して土地の貸付又は売却を受くる場合においては代表者を定むへし之を
    変更したるときは樺太庁長官に届出へし

第29条 共同して土地の貸付を受けたる者其の共同より脱退せむとするとき又は之に
    加入せむとする者あるときは第六号書式の願書を樺太庁長官に差出すへし

第30号 第十条に依り譲渡の許可を受けむとする者は第七号書式の願書に譲受人の戸籍
    謄本を添付し樺太庁長官に差出すへし

第31号 第十五条の規定に依り貸付地の売却を受けむとする者は第八号書式の願書を
    樺太庁長官に差出すへし

第32条 貸付地を返還せむとするときは第九号書式の願書を樺太庁長官に差出すへし
    但し貸付地の一部を返還するものなるときは図面を添付することを要す
     耕作牧畜及之に直接付随の用途に供する貸付地の一部を返還し残地の事業予定
    に変更及ほす場合は新事業予定書の添付を要す但し耕作目的貸付地にして第二十四条
    第二項に該当する場合はこの限りにあらす

第33条 樺太国有未開地特別処分令第七条に依り貸付したる土地の譲与を受けむとする者
    は第十号書式の願書を樺太庁長官に差出すへし

第34条 土地の売却、貸付譲与の許可を受けたる者若は出願中の者にして地元支庁部内
    に居住せさるときは其の部内居住者を代理人と定め支庁に届出すへし

第35条 土地の売却、貸付譲与の許可を受けたる者若は出願中の者にして左の各号の一に
    該当したるときは二箇月以内に本人、相続人又は法定其の他の代理人より樺太庁
    長官に届出へし
 
     一、死亡、失踪、相続又は居所不明となりたるとき
     二、法定其の他の代理人を置きたるとき又は其の異動ありたるとき
     三、本籍住所若は氏名に異動ありたるとき

    前項の届出には本籍住所及法定以外の代理人の異動又は居所不明の場合を
    除くの外戸籍謄本の添付を要す

第36条 前条第一項第一号に該当し其の届出を爲ささるときは契約を解除し又は出願を
    無効とすることあるへし

第37条 共同して土地の売却又は貸付を受けたる者の行政庁に対する義務は連帯責任とす

第38条 本則に依る願届出書はまとめて出願地所轄の支庁出張所を経由すへし

       附則

本令は発布の日より之を施行す
明治四十一年十月庁令第三十号有償貸付地売却規定及び明治四十一年十二月庁令第三十六号
樺太国有土地管理規則施行細則は本令施行の日より廃止す但し同細則に依り貸付したる土地
に付てはそのまま従前の規定に依る

       書式省略